銀座 築地 耳鼻咽喉科 アレルギー科 東京都内いびき治療と補聴器処方 慶友銀座クリニック

慶友銀座クリニック

慶友銀座クリニック

東京都中央区築地 1-13-11 高橋ビル2階
03-3542-3387

アレルギー・花粉症

花粉症治療

花粉症(アレルギー性鼻炎)

初期療法

初期療法は初期療法花粉症の早期対策です。花粉症治療には、初期療法・導入療法・維持療法の3つがあります。初期療法は強い症状が出る前より治療を開始します。導入療法は症状が強くなってから治療を行います。維持療法は改善した症状を維持する療法です。初期療法とは、花粉症と診断された患者さんの例年の症状に合わせ、花粉が飛散する1~2週間前より、薬の服用を開始する治療です。花粉症等のアレルギーは、症状が悪化すると薬が効きづらくなります。しかし、軽症のときに薬を使いはじめると、花粉の飛散量が多くなった時期でも症状をコントロールしやすくなり、そのシーズンの症状を軽くすることができます。そこで、花粉の飛散前あるいは症状が軽いときより薬の使用をはじめるのが初期療法です。特に、毎年の症状が中等症以上になる方で、シーズンをなるべく楽に乗り切りたいと考えている方にお勧めです。初期療法により症状が出る時期を遅らせて、花粉シーズン中のつらい症状を軽くして、症状の終了を早めることができます。

初期療法は、2013年鼻アレルギー診療ガイドライン1)にスギ花粉症治療での初期療法についても書かれています。初期療法の有効性に関しての報告は多数あります。報告の中では、ヒスタミンH1受容体拮抗薬を用いた花粉症に対する初期療法は,花粉飛散初期の鼻粘膜のヒスタミンH1受容体の発現増加を抑制することにより,花粉飛散ピーク時のアレルギー性鼻炎症状を抑制している可能性が示唆されています2)。有効性が個人によって差があります。

初期療法を施行することにより、鼻粘膜擦過細胞中のヒスタミンH1受容体mRNAの発現量は有意に低下することが確認され、スギ花粉飛散開始前の鼻粘膜擦過細胞中のヒスタミンH1受容体mRNA発現量と、スギ花粉飛散時期の鼻症状に、正の相関関係があることを見出したことにより、スギ花粉症患者に対し、初期療法が有用であることの原因の一つとして、鼻粘膜に発現しているヒスタミンH1受容体の発現量変化が関与しているとも考えられています3)。鼻アレルギーガイドライン2013年1)では、くしゃみや鼻漏(鼻水)の方は、第2世代抗ヒスタミン薬や遊離抑制薬を用います。鼻閉型または鼻閉を主とする充全型には抗LTs 薬、又は抗PGD2・TXA2 薬、又はTh2 サイトカイン阻害薬の3つの中で一つを処方するようにとされています。

例年スギ花粉は、九州・関東では1月下旬より、関西では2月上旬から飛び始めまることが多いです。初期療法の開始時期は、使用する薬の効果が現れるまでの時間と、患者さんの例年の飛散花粉に対する過敏性を考慮して判断します。初期療法のスタートの時期は、第2世代抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬の場合は花粉飛散予測日または症状が少しでも現れた時点とし,その他の薬剤は飛散開始予測日の1週間前をめどに投与開始となってます。ガイドラインでも合併症の疑いのあるアレルギー性鼻炎の患者に対して,一度は鼻鏡検査を行って,その有無を確認しておく必要があるといわれています。

その根拠として、鼻茸の合併はアレルギー性鼻炎単独例よりも気管支喘息を持つ症例に頻度が高く,アスピリン過敏症ではさらに高頻度であるので注意が必要であるとのことでした。鼻中隔弯曲症や副鼻腔炎を併発している方は、当然お薬も効きにくくなり、他の薬(抗生剤等)を追加処方する必要性もあります。このようなことから、やはり初期療法をスタートする前に、是非耳鼻咽喉科の専門医を受診して、鼻咽腔・副鼻腔内の精査をしてもらうことも重要です。初期療法は本格的花粉飛散期の導入のためなので,よほど花粉飛散の少ない年以外は重症度に応じて季節中の治療に早めに切り替えるともガイドラインで提唱されています。初期療法でコントロールがつかなくなった場合は、第2世代抗ヒスタミン剤だけでなくステロイド薬の点鼻や抗ロイコトリエンも併用しながらの治療が必要となります。

参考文献
1)鼻アレルギー診療ガイドライン2013年度版―通年性鼻炎と花粉症 アレルギー62(11)1458―63,2013
2)第60回日本アレルギー学会秋季学術大会 2010年11月開催 シンポジウム3 [アレルギー性鼻炎/花粉症研究の最前線]ヒスタミンH1受容体遺伝子発現の亢進メカニズムと花粉症初期療法の分子機構
3)科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)スギ花粉症初期療法が鼻粘膜ヒスタミンH1受容体発現に及ぼす効果と機序に関する研究:The mechanism and effect of primal therapy and nasal histamine H1 receptor in Japanese cedar pollinosis. MAKISE T.et al.

お薬を摂取して症状をやわらげる方法です。花粉飛散の少し前に行う初期治療や、重症度や病型に応じて第二世代抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬等を投与します。効果が高いほど、眠気が強くなる傾向にあり、職業ドライバーの方などで職業上それがだめなかた、どうしても眠くなり日常生活に支障が出る方がいます。また緑内障で抗ヒスタミン系のお薬が飲めない方もいます。

薬の種類 作用特徴
抗アレルギー薬 ヒスタミン等アレルギー症状を誘発する物質が放出されるのを抑制する
抗ヒスタミン薬
第一世代
抗ヒスタミン作用でくしゃみや鼻汁を和らげる。既に起こってしまったアレルギー症状に効く。眠気を伴う。
抗ヒスタミン薬
第二世代
抗ヒスタミン作用以外に抗アレルギー作用を有する成分もある。
アレルギー性鼻炎のメインの治療薬
副交感神経遮断 鼻水・鼻閉を鎮める。
抗炎症成分 鼻粘膜における炎症を鎮静。
消炎酵素成分 鼻汁の膿粘液を分解することにより炎症を抑制する。
生薬漢方 鼻汁と鼻閉を和らげる。
交感神経刺激
(血管収縮剤)
鼻の粘膜にある血管を収縮させることにより、一時的に鼻閉を緩和する。一か月以上の使用で、薬剤性鼻炎になり鼻閉が悪化。

アレルギーガイドラインはこちら

注射

① ヒスタミン加入免疫グロブリン製剤+ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤 ⇒ 6回注射(予約無でも即注射)
(約320円/1回(3割負担)+再診料等)
② デュピルマブ(遺伝子組み換え)製剤注射 ⇒ 最新療法
③ ステロイド筋肉注射は重篤な副作用がとても多い為、当院では行っていません。

ヒスタミン加入免疫グロブリン製剤+ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤
当院では、鼻の粘膜の炎症や花粉症に対する注射の治療として、ヒスタミン加入免疫グロブリン製剤及びワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤を混在の一本注射療法を行っています。正式には非特異的減感作療法といいます。特定のアレルギー原因物質に対して感受性を低下させる”特異的減感作療法”(例としてスギに対する舌下免疫療法)とは異なります。注射は、ハウスダストやダニや、スギなどの各種花粉など、すべてのアレルギーの元となる「ヒスタミン」の働きを抑制するので、すべてのアレルギーに効果があります。減感作療法と違い短期間に治療が終了するのが利点です。注射は3回~6回を1クールとして、約1ヶ月ほどで治療が終了します。ヒスタミン加入免疫グロブリン製剤の注射はアレルギーに効果的なワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤注射ともに投与すると有効性が高まるので、当院では併用をお勧めしています。
※ 注意
ヒスタミン加入免疫グロブリン製剤は人免疫グロブリンに微量のヒスタミンを加えた血液製剤です。感染症関連の検査やウイルス除去/不活性化などの安全対策は講じていますが、これらによってウイルス等の感染性を完全に否定することはできません。なお、本剤は昭和42年に国内で発売以来、感染症をおこしたことはありません。このことをご理解したうえで、同意される患者様のみ当院では本薬剤を使用することにしております。

【作用機序】
1.好酸球の浸潤を抑え、アレルギー症状の悪化、慢性化を抑えます。
2.肥満細胞からヒスタミンの放出を抑え、アレルギー性鼻炎の症状を改善します。
3.ヒスタミンに対する抵抗力を与えます。
副作用:じんましん・喘息発作・頭痛・注射した部の痛み・発熱・ショック(まれ)

★注射してはいけない方
本剤に対しアレルギーのある方・喘息発作がある方・妊婦または妊娠の可能性のある方注射時に他の手術をする方安定剤・鎮痛剤を飲んでいる方(注射期間中に飲んでしまった場合、当日の来院はご遠慮下さい)
月経直前及び期間中の方(注射期間中に生理になった場合、当日の来院はご遠慮下さい)
当院では必ず上記を患者様に確認のもとに、注射を行っています。

デュピルマブ
鼻汁・鼻閉・嗅覚障害をおこす慢性の鼻副鼻腔炎は、古くから抗生物質の治療や手術が行われていましたが、鼻茸の再発を繰り返す難治性の鼻副鼻腔炎に対して、2020年からデュピルマブの注射治療がスタートしました。ノーベル賞で話題となった癌に対する分子標的薬と同類のものです。

ステロイド注射
花粉症(アレルギー性鼻炎)は注射1本で治る?(花粉症1回注射)といわれているステロイドと呼ばれる副腎皮質ホルモン剤の花粉症皮下注射(ケナコルトA®)注射)標準価格約16500円を、慶友銀座クリニックではなぜ行わないかという問い合わせが、まいにち多数寄せられます。まいにちお断りすることが、非常に心苦しい状態です。本当に困っています。

花粉症皮下注射(ケナコルト注射)について、注射部分の皮膚の陥没や副作用の面が報告され、耳鼻咽喉科関連学会も一切推奨しない状況であり、日本耳鼻咽喉科学会会員という立場からも、一切行いません。

「アレルギー性鼻炎に対してケナコルトの皮下注射で皮膚のトラブル」
医師が選んだ医事紛争事例63 京都府保険医会
https://healthnet.jp/paper/paper-14915/paper-16698/paper-16806/

ステロイドと呼ばれる副腎皮質ホルモン剤(ケナコルト(R):トリアムシノロンアセトニド)の鼻腔の粘膜への注射は、昔昔、鼻の粘膜のポリープがひどく、花粉症やアレルギー性鼻炎による鼻炎もひどく、鼻閉や後鼻漏の症状が強い方に行っていた事例がありました。やり方としては、鼻の中をエタノール等で消毒して、鼻の粘膜に麻酔の注射はせずに、鼻の粘膜を麻酔薬に浸したガーゼで表面麻酔して、鼻の粘膜(鼻甲介・下甲介)に注射するというものでした。しかし、このステロイドの鼻の粘膜注射は、「頭頸部(頭皮、鼻内等)への注射により、網膜動脈閉塞が生じ、失明、視力障害があらわれたとの報告があるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。」という報告が最近あり、ステロイドを含む内服薬や外用薬の投与や、日帰り手術としての鼻腔粘膜のレーザー治療や高周波ラジオ波でも、花粉症やアレルギー性鼻炎が大きな原因である鼻の粘膜のポリープや鼻炎・後鼻漏・鼻閉に対して十分な改善が見込め、耳鼻咽喉科関連学会でも推奨されていません。他に皮膚への注射へ皮膚の陥没や失明、視力障害やムーンフェイス等数々の報告があります。ケナコルトをおすすめしていない先生のHPは数限りなく存在します。日本耳鼻咽喉科学会会員で、花粉症注射(ケナコルト注射)を推奨しているHPは2023年2月22時点では慶友銀座クリニックの院長が調べている時点ではありませんでした。

日帰り手術(レーザー・高周波ラジオ波)

レーザーや高周波ラジオ波による日帰り手術をまず検討します。ガイドライン上は重症・最重症で鼻閉型で鼻腔形態異常を伴う場合に手術と書かれています。レーザーは鼻腔粘膜の表面を焼いてアレルギー反応がおこる場を減らします。でもなんといってもレーザーも高周波ラジオ波も鼻腔粘膜を焼くことで鼻腔粘膜の大きさを減少させるというのがメインです。なんといってもお薬が効きにくい鼻づまりに効果があるのです。

1.レーザー「炭酸ガス・半導体」

花粉症に対するレーザー治療が注目されております。当院は、日本レーザー医学会の認定施設です。当院では(社)日本耳鼻咽喉科学会認定の専門医(経験が耳鼻咽喉科医として大病院等での認定研修機関で5年以上)のみが手術を行う、花粉症(アレルギー性鼻炎)に対する鼻の日帰り手術を行っています。
院長が監修したサイトも参考にして下さい。
2019年3月 ダイム誌サイト
2014年2月 CREA誌サイト

1-1.レーザーの種類

レーザー素子の種類によりガスレーザー(炭酸ガスCO2、アルゴンガス、混合ガス(He/Ne)などの気体が素子)、固体レーザー(YAGなどの結晶が素子)、半導体ダイオードDiodeレーザー:半導体が素子)、液体レーザ (色素などの液体が素子)に分けられます。レーザーの励起源により、放電型(炭酸ガスCO2レーザー)、電流型(半導体ダイオードレーザー)、フラッシュランプ型(YAGレーザー)に分けられます。臨床上大きな違いは、レーザーの波長です。レーザーは種類により放出されるレーザー波長が違います。
炭酸ガス(10600nm)> Er:YAG(2940nm)> Nd:YAG(1640nm)> 半導体ダイオード(810nm)
それぞれの波長で水、ヘモグロビン、メラニンなど、人体を構成する物質の吸収係数が異なるため、各レーザーで効果的な組織が異なります。当院には、炭酸ガスレーザー2台と半導体レーザーがあります。炭酸ガスレーザーの波長は半導体レーザーの波長の長さの10倍以上有り、この波長は水によく吸収されてしまい、なおかつ組織にもよく吸収される性質をもちます。従ってレーザーのエネルギーが組織の表面で吸収される性質を持つタイプで、表面吸収レーザーともいわれます。基本的に鼻の粘膜の表面さえ焼いておけば効果的なので理想的です。しかし炭酸ガスレーザーが飛び出す端子は、組織から離して、外から吹き付けるタイプです。鼻水が多いと、端子と鼻の組織の間に水分が有り、組織にうまくレーザーが到達しないという難点があります。一方半導体レーザーは、波長が短いので水に吸収されにくいという利点があります。またレーザーが飛び出す端子は組織に接触して使うので、鼻水があっても組織を焼くことができますが、組織の深部まで到達するので焼くには注意が必要です。

1-2.当院でのレーザーの使い分け

手術時あまり鼻水が出ていない場合は表面だけよく焼けてコントロールしやすい炭酸ガスCO2レーザー、鼻水が多い場合は半導体レーザーと使い分けています。鼻がかなり曲がって(鼻中隔弯曲症)いる場合は、非接触型だと端子が鼻に入らないので、接触式の半導体レーザーを使用することもあります。また場合によっては、鼻水が出ていても、十分鼻水抑制を一時的にお薬で行った上で、炭酸ガスCO2レーザーを用いて鼻の粘膜(下甲介)をよく焼くこともあります。

1-3.花粉症のレーザー手術の時期

花粉症状がでる3-4週間前が炭酸ガスCO2レーザーによる手術の最終期限です。花粉飛散日の1ヶ月前を目安に考えて下さい。レーザー手術を行った後1週間ほどは、個人差はありますがレーザーによる炎症の症状が出ます。直後は鼻づまりや鼻水等の花粉症のような症状が出る場合があり、当院では抗アレルギー薬(第二世代抗ヒスタミン薬)と点鼻薬を手術した患者さんに術後処方しています。抗生剤や痛み止めは経験上必要がないので処方していません。術後2週間目に、当院で術後の状態をチェックします。そこで問題がある場合は対応します。焼いた鼻の粘膜は、術後3週間ほどで落ち着きます、そのころよりレーザーの治療効果が期待できます。以上により花粉飛散の少なくとも3週間前に手術をしましょう。尚、通年性の鼻炎(ダニ、ハウスダスト等)に対しては常時手術を行っています。 しかし花粉飛散真っ最中で、鼻水がとめどもなく出て、鼻づまりも酷く、薬も効かないというかたにも、半導体レーザーなら、なんとか対応できます。場合によっては炭酸ガスCO2レーザーも状況により可能です。全ての方に可能ではないですが、まずはご来院ください。専門医が鼻の中を精査して手術の可否を決めます。

炭酸ガスCO2レーザー
水に吸収される波長の炭酸ガスCO2レーザーは、皮膚・軟組織の止血・凝固・切開が可能なレーザー治療機器です。YAGレーザーやArアルゴンレーザーは、水に吸収されないので、鼻水があっても、鼻の粘膜を焼くことができましたが、深いところまで焼いてしまうので、手術中の痛みや出血があるのが難点でした。 炭酸ガスCO2レーザー手術はアレルギー反応を起こす下鼻甲介の粘膜部分にレーザーを照射することによりアレルギー反応を抑制し、くしゃみ、鼻水、鼻づまりを抑えさせる方法です。炭酸ガスCO2レーザーは、深いところまで焼くことはないので出血は少なく、鼻水を出す鼻の粘膜の表面(下鼻甲介粘膜の表層部である繊毛上皮から上皮化固有層)のみを焼く(蒸散)します。鼻の粘膜をバーナーであぶるような感じから、耳鼻咽喉科以外の先生からは光破壊型療法、よく焼くのでウェルダン療法ともいわれていますが、耳鼻咽喉科領域では今でも信頼性のあるやりかたです。特にシーズン前の花粉症の治療としては理想的なレーザーといえます。当院では2台の炭酸ガスレーザーを用意し、手術は全員が慶應義塾大学関連病院の大病院の部長クラスを含む経験豊富な鼻の手術に熟知する(社)日本耳鼻咽喉科学会認定医のみが行います。鼻の手術としてはレーザーは簡単な部類に入りますが、内視鏡による鼻の手術も行う耳鼻科認定医は、鼻の構造を熟知しており、必要な場所のみ焼くことになり、効果も当然高く安全です。
半導体ダイオードレーザー
炭酸ガスCO2レーザーは、エネルギーが強く鼻の組織をよく焼ける(蒸散する)のが利点でしたが、特に花粉症の真っ盛りで鼻水が多いと、水がレーザーを通さないので、手術することができませんでした。波長が短いのが特徴の半導体ダイオードレーザーは、鼻水が多くても、レーザーが水を通り、組織を焼くことができるようになりました。今までの半導体ダイオードレーザーは出力が弱く、疼痛の緩和や創傷の治癒促進に使われ、歯科の分野でインプラント周囲炎やホワイトニングの治療に使われてきました。最近になりレーザー出力を大幅に向上できるようになった半導体ダイオードレーザーが最近発表され、従来出力不足により不可能であった鼻のレーザー治療だけでなく、切開切除などの外科的な処置が可能となりました。半導体ダイオードレーザーの波長はヘモグロビンの吸収係数が大きいため、外科的治療のとき高い止血効果をもちます。手術方法としては、バーナーで炙るようなタイプの炭酸ガスレーザーと違い、針金のような半導体レーザー線を直接鼻に接触させて焼くタイプになります。接触させて直に焼きますが、レーザーよりも痛みはより少なく、穏やかな焼き加減になります。焼いているときの臭いも、炭酸ガスレーザーでは、肉が焼ける臭いが少しするとのことですが、半導体ダイオードレーザーは、手術中鼻から湯気がたち、蒸したときの 臭いがするようです。筆者からすると、炭酸ガスレーザーは肉の鉄板焼きで、半導体ダイオードは蒸し焼きという感じです。

2.高周波ラジオ波

◆ 高周波ラジオ波手術の動画はこちら ◆

【高周波ラジオ波電気凝固治療の種類】
高周波ラジオ波(RF:Radiofrequency Energy)発生装置により、正確にコントロールされた低エネルギー高周波を発振して局部組織を凝固させ、結果的に病変部位の組織容積を縮減するシステムです(Radio-Frequency Volumetric Tissue Reduction,RFVTR)。日本でも30年ほど前から、鼻への応用が検討されていました。米国ではレーザー治療機器が日本のように普及しなかったことから、花粉症に対しての手術といえば高周波ラジオ波による鼻の粘膜の電気凝固です。レーザーと同じく、アレルギーをおこす鼻の粘膜(下甲介粘膜)の容積を減らすのが目的ですので、特にアレルギー性鼻炎による鼻づまり(鼻閉)に効果があります。米国で1997年にスタンフォード大学睡眠障害センターにていびきの原因となる閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea Syndrome,OSAS)に関して、高周波を利用した報告があり、アレルギー性鼻炎だけでなく、いびき・睡眠時無呼吸症候群に対しても有効性が認められています。鼻の手術にもとても有効性が高いものですが、手術中の痛みが強いのが難点でした。痛みが強いタイプのマシンは、米国では短期手術(病院の手術室で全身麻酔下にて手術をして、病院に一泊し次の日に退院)で使っていますが、クリニックでの日帰り手術には痛みが強すぎて、痛みに弱い米国人には不向きでした。当院では双局型で一本の針にプラスとマイナスがついている高周波ラジオ波電気凝固装置を使っています。この高周波ラジオ波電気凝固装置は、米国で鼻の日帰り手術の治療のスタンダードです。また当院では、トレーサビリティーシステムを導入し、高周波ラジオ波に用いる電気メスの管理をしています。

3.質問集

3-1.アレルギー性鼻炎の治療には、レーザーか、高周波ラジオ波か?

当院では、まず侵襲の少ないレーザー手術をおすすめしています。他の病院でレーザー治療をうけ、治療効果が少ない場合は、高周波ラジオ波による手術をおすすめしています。高周波ラジオ波を最初に希望の患者様には、効果や術後経過を説明し、同意いただいた方には行います。

3-2.アレルギー性鼻炎には炭酸ガスCO2レーザーか、半導体ダイオードレーザーか?

シーズン前には炭酸ガスCO2レーザーをおすすめしています。半導体ダイオードレーザーは主にシーズン中に必要な場合に行っています。

3-3.Q&A(レーザーと高周波ラジオ波共通です)

① 手術するとにおいがしなくなる?
関係ありません。(焼く場所が違うので)
② 手術当日仕事はできますか?
デスクワークであれば通常通り可能です。
③ 手術当日風呂は?
当日の洗髪は避けて下さい。シャワーや短い風呂は可能です。
④ 手術当日の飲酒は?
当日のみなるべく避けてください。(少量のみ可)
⑤ 手術当日鼻血は?
もし出ても少量です。小鼻を5分ほど押さえれば止血します。
⑥ 授乳中ですが手術は可能ですか?
可能です。妊娠中はご遠慮ください。
⑦ 術後完全に薬がいらなくなりますか?
確かにそういう方も多いですが、手術により今の薬がより少なく、より弱い薬でもよくなるという表現が正しいと思います。

舌下免疫(減感作)療法

舌下免疫(減感作)療法は、これまでの薬のような対処効果でなく、完治を視野に入れた体質を変える治療であるため、治療を長期間続ける必要があり、毎日薬を飲む必要があります。定期的に薬をもらい、自宅で自分で治療が可能です。従来の減感作療法は注射を定期的にしなければならず、痛みがあり、医療従事者により注射をしてもらう必要がありますが、内服なので痛みはありません。また従来の減感作療法に比べ、アナフィラキシーショックが少ないのがメリットと考えられています。しかし治療が2年から5年の長期間に及び、毎日薬を飲む必要があり、現在のところスギ花粉症しか適応はありません。スギ花粉の飛散時期に始めることはできません。スギ花粉症患者では、血清中総IgE、スギ特異的IgEがスギ花粉の非飛散期に比べ、飛散期で多く、好酸球も上昇したという報告があり、スギ花粉飛散時期においては、患者のスギ花粉抗原に対する過敏性が高まっている場合が多いからです。スギ花粉舌下液はスギ花粉由来のアレルゲンを含む液であり、スギ花粉飛散時期に新たに投与を開始した場合、患者のスギ花粉抗原に対する過敏性が高まっているため、アレルギー反応が誘発されやすいと考えられています。臨床試験でも投与開始初期(約1ヶ月前)に副作用が多く発現しているので、安全性を考慮して、スギ花粉飛散時期は新たに投与は開始せず、少なくとも飛散の三ヶ月前にスタートします。

慶友銀座クリニックでは、舌下免疫療法の治験(JT・鳥居薬品)が65歳までの患者さんしかに行われていないため、65歳までしか処方を行っていません。
尚、血液検査によるスギ抗体陽性のデータがないと、初診時から舌下免疫の治療がおこなうことができないことをご留意ください。初診から舌下免疫の処方を希望する方は、他の医療機関でのスギ抗体陽性を証明するデータをお持ちください。データない場合は当院にて検査し、約1週間以降に結果がわかるので、それから舌下免疫の治療となります。
◆ 詳しく舌下免疫(減感作)療法について知りたい方はこちらへ

メカニズム(花粉症の仕組み)

花粉の飛散数の多い年と少ない年は交互に現れるという傾向があります。また花粉の飛散の数は、夏の暑さと、特に日照量に関係しているといわれています。日照量が多い方がスギはよく成長して、翌年の春に花粉を大量に放出する傾向があるようです。異常気象の多い昨今は予想がつきにくくなっています。

花粉の飛散数の多い年と少ない年は交互に現れるという傾向があります。また花粉の飛散の数は、夏の暑さと、特に日照量に関係しているといわれています。日照量が多い方がスギはよく成長して、翌年の春に花粉を大量に放出する傾向があるようです。異常気象の多い昨今は予想がつきにくくなっています。

花粉症は、体内に入った花粉が原因で起こる、人間の身体が起こすアレルギー反応(または異物反応)です。この反応は、体内に侵入した花粉を本人が異物と認識してしまい、異物(抗原ともいいます)に対する抗体をつくってしまい、再度侵入した花粉を撃退するというものです。免疫反応ともいいます。この反応が日常生活に支障がでるほど強くなってしまうことがあります。花粉症の場合も、花粉を排除しようとして、鼻水・鼻づまり・くしゃみ・眼の痒みという症状がでてしまいます。他に花粉によっては、皮膚の荒れや痒みをおこすものもあり、花粉の時期になると耳が痒くなってしまう患者様がいますが、この反応と思います。

花粉が人体に入っても、即花粉症にはなりません。遺伝とも関係しているといわれ、人によって差があります。体質だけでなく、鼻の中の構造も、症状を悪化させる原因になります。また生活・住環境の違い(杉が多いところで暮らしている、カーペットをしいた部屋で暮らしている等)、食生活の変化も考えられます。現代人はインスタント食品にスナック菓子など大量に消費します。これらのことも原因として考えられています。また自律神経を乱してしまう睡眠の不足や、不規則生活、ストレスも原因と考えられています。生活の習慣を見直して、夜更かしをしない規則正しい生活を心がけることが、花粉症を和らげるかもしれません。

花粉症の原因物質に対してアレルギー反応を起こさない方は別ですが、自分がアレルギー反応を持つ花粉を浴び続けると人間がつくる抗体が増えてしまい、感作が成立し、花粉症の症状がついに出現してきます。飛散する花粉量が増加しているために、感作までの期間が短くなり、花粉症は若年化がすすんでしまい、「ウェザーニュース」の報告では、子供の花粉症デビューの平均は7.4歳で、4~6歳の幼稚園児/保育園児が27.4%で最も多いことが分かりました。小学校入学前から、花粉症になってしまう子が4人に1人いるという計算になります。

花粉症のメカニズムとして俗説として「バケツ理論」というものがあります。人それぞれ、ある種の花粉に対して耐えきれるバケツがあり、それがあふれてしまうと花粉症が発症するという理論です。アレルギー反応の閾値の概念を説明するにはわかりやすいのですが、実はちょっと違います。確かに、花粉症の症状である(くしゃみ・鼻水(鼻漏)・鼻づまり・目の痒み・異物感)は、花粉の飛散量に比例して悪化する傾向です。しかし、この説だと毎日少しづつ特定の花粉の成分を摂取することで体を慣れさせる「舌下免疫療法」が説明できないからです。免疫でできる抵抗力が、体内に蓄積された花粉(及びストレス)よりもぐっと小さく(弱く・軽く)なると、花粉症が発生するという説が今のところ有力です。このことをシーソーに例えて「シーソー理論」という先生もいます。

花粉症患者の増加の原因として考えられるのは、減らず増加傾向の花粉数があります。戦後の復興で国内の木材の需要が高まったことにより、林業の拡大と造林を戦後国の政策として行ってきました。花粉症の原因となるスギやヒノキは成長率が高く建材としての価値が高い樹木を数多く植林したことで、それらに伴って花粉も爆発的に増加してきました。木材も輸入木材が国内木材に取って代わったことで、大量に国内に植えた木材の伐採や間伐が停滞したことでより花粉が多くなってきています。現在では花粉症を起こさない木材の植林が国の主導でおこなわれていますが、現在の異常気象の悪影響もあり、増加傾向はまだまだ続くと思われます。また食生活の欧米化も考えられます。炭水化物が食事の中心となっている国では、花粉症の人が少ないと言われています。昔の日本の伝統的な食事は、米や野菜が中心の食生活でしたが、体内の免疫を刺激しやすいたんぱく質や脂質の摂取量の増加によって、花粉症をはじめとするアレルギー患者が増えてきました。また、食品添加物や加工食品、甘いものを食べ過ぎることにより、アレルギー症状をひきおこすヒスタミンなどの放出が増えてしまい、より症状が悪化しやすくなると考えられています。まず今までの自分がとっていた食事内容を見直すことが大切です。他に女性の社会進出と科学技術の発達や育児環境の変化により、母乳から人工栄養の切り替えも一因と考えられています。他に光化学スモッグ、最近ではPM2.5や黄砂などの大気汚染や喫煙なども花粉症患者の増加に影響していると考えられております。特にPM2.5は、肺の奥深くまで入りやすいことから、肺がんなどへの影響が懸念されています。中国の砂漠や高原から偏西風に乗って日本にやってきた黄砂やPM2.5と一緒に人体に取り込まれると、体内でアレルギーを引き起こす抗体の生成を促進され、アレルギー症状を悪化させる「アジュバント効果(抗原性補強)」によって花粉症が悪化すると考えられています。(参考サノフィKK SAJP DLE 19010086) また舗装された道路の増加 、東京・大阪のような大都会だと、大気汚染物質の1つであるディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる微粒子が悪化させる原因ともいわれています。また現代社会の過度なストレスも花粉症をより悪化させるといわれています。

環境省が発行する花粉症環境保健マニュアルによると、日本での花粉症を罹患する患者数はまだ正確に分かっていません。全国調査で、耳鼻科医とその家族を対象とした2008年1月~4月の鼻アレルギーの全国疫学調査があります。それによるとアレルギー性鼻炎全体の有病率は約40%、花粉症全体の有病率は30%、スギ花粉症の有病率は27%でした。同様の調査が1998年にも実施されており、スギ花粉症の有病率は10年間でおよそ10%増加していました。スギの花粉症に関する調査で、スギの花粉症の有病率と花粉の飛散数や親のアレルギー歴との間に関連があるそうです。東京都は、総合的な花粉症対策を推進するため「東京都花粉症対策本部」を設置しています。過去20年間の花粉飛散数を記録している千葉県船橋市では、1993-2002年に飛散した花粉量の平均より、2003年-2012年に飛散した花粉量の平均の方が多くなっていました。花粉症によるアレルギー性鼻炎は成人の2割、子供の4割にあるといわれています。

その原因としては整備されていない杉の増加や気密性の高い住居、食生活の欧米化、大気汚染 、舗装された道路の増加 、ストレスの多い生活が考えられています。東京のような大都会だと、大気汚染物質の1つであるディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる微粒子が悪化させる原因ともいわれています。また,東京のような都会はコンクリートジャングルといわれるほど、コンクリートとアスファルトに覆われており,花粉が土などに吸収されず、何度も舞い上がる再飛散が起こり、花粉症を悪化させます。このようなことが、田舎の田園地帯よりも、実は東京のような大都会で花粉症が多くなってしまう原因です。また2013年3月のCNNのニュースでは科学誌サイエンスに投稿された論文の内容として、地球温暖化の異常気象により地球の温度は上昇し、2040年までに花粉の飛散量が2倍以上増える可能性があるとの報告もあります。

花粉症を引き起こす代表的な植物(9種)

① スギ 杉
飛散時期:2月上旬~4月下旬 大きさ)30~40㎛

② ヒノキ 檜
飛散時期:3月上旬~5月中旬 大きさ)28~34㎛

③ カモガヤ(イネ科)
花期:5月~7月 生育:道端や草地 牧草として栽培され、野生化もあり。

④ ネズミホソムギ(イネ科)
花期:5月~7月 生育:河川敷や公園 ネズミムギとホソムギの交雑種。牧草として栽培された後に野生化。

⑤ ススキ(イネ科)
花期:8月~10月 生育:山野 秋の七草の一つ、多年草で、一カ所に固まって生育。

⑥ カナムグラ(アサ科)
花期:8月~10月 生育:道ばたや荒れ地 蔓性の草。葉に下向きの棘。

⑦ ブタクサ(キク科)
花期:8月~10月 生育:道端や河原 秋の花粉症の代表例。午前中に飛散。

⑧ ヨモギ(キク科)
花期:8月~10月 生育:市街地、道、堤防 多年草で、一年草のブタクサより繁殖力旺盛。

⑨ ハンノキ(カバノキ科)
花期:1月~3月 生育:山野の低地、湿地、沼地

東京都内の花粉症感染者割合

都はH28年に都内の3地区にて花粉症患者の実態調査を行い、都内のスギ花粉症推定有病率は48.8%で、調査を始めた昭和58年から一貫して上昇中。

第1回調査 第2回調査 第3回調査 第4回調査
あきる野市 7.5% 25.7% 28.0% 48.5%
調布市 15.7% 21.1% 27.1% 47.7%
大田区 8.9% 17.7% 28.5% 49.1%
都全体 10% 19.4% 28.2% 48.8%

東京都福祉保健局 花粉症患者実態調査報告書(平成28年度);調査年度:第1回:昭和58年~昭和62年度 第2回:平成8年度 第3回:平成18年度 今回調査:平成28年度 参考)花粉症一口メモ(2023年度版)東京都健康安全研究センター

※花粉を飛散させるススキやヒノキは、前年6月頃に雄花や雌花を作り始め、スギは11月、ヒノキは翌年3月に花粉を雄花のなかで完成。

※2023年度、関東地方には35万ヘクタールの杉林がある。その面積は近年増加していないが、国産木材の需要の低下により、花粉を多くつける樹齢30年以上の割合が高くなり、飛散花粉が増える恐れがあり。

※多摩地域は関東地方のスギ林の約6.5%を占有。都はスギ、ヒノキ林の伐採と花粉の少ないスギの植林により花粉の少ない森づくりを計画している。伐採した木材は「多摩産材」として公共施設や駅、商業施設に積極的に利用を進めている。

参考)花粉症一口メモ(2023年度版) 東京都健康安全研究センター

飛散情報

花粉飛散情報は以下の情報欄でチェックしましょう。ともかく花粉を自分の鼻の中、目の中に入れないのが一番の対策です。自分のパソコンやスマホに登録して、外出前にチェックして対策をすると、効果的です。

・花粉情報(ウェザーニューズ)
https://weathernews.jp/s/pollen/?fm=sw&fmdotop=2
・東京都健康安全研究センター
http://www.tokyo-eiken.go.jp/kj_kankyo/kafun/
・東京都アレルギー情報Navi(東京都福祉保健局)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/allergy/index.html
・花粉ナビ(日本気象株式会社)
https://s.n-kishou.co.jp/w/charge/kafun/kafun_top.html

2024年の花粉飛散予測
2024年スギ花粉の飛散開始は、例年並みか、やや早くなる見込みです。暖冬予想の為に西日本の一部では1月下旬になる可能性もあります。スギ・ヒノキ花粉の総飛散数の予測は、東北北部を除いて全国的には2023年より少なくなる見込みです。過去10年の平均値との比較においても、東日本の東海から北の地域では平均並みと予想されます。西日本の一部では50%以下になる見込みです。
しかし、2024年は西日本の一部を除いて、2,000個から5,000個以上が多くて、10,000個以上の地点もあり決して少ないとは言えません。
参考NPO法人 花粉情報協会より

生活習慣(予防)

① 抗原除去・回避
・花粉情報に注意する(飛散時期や現在いる場所での飛散状況をネット等で把握する)
・花粉が多くなる日は、気温が高い日、風が強く、晴れて乾燥した日、雨の日の翌日天気がいい日です。飛散の多い時の外出を控え、飛散の多いときは窓や戸を閉めておく。
・帰宅時、衣服や髪をよく払い入室する。洗顔・うがい・手洗いを行い鼻をかむ。
・掃除の励行。できれば床はフローリングにする。・掃除機に加え、ぬれ雑巾、モップがけを行う。
・洗濯物は室内に干す。布団は布団乾燥機を利用する。または、外に干した後掃除機をかける。
・空気清浄機を設置する。
・外出時にはマスクやメガネやつば付きの帽子を着用し、けばだった毛織物などのコートの使用はさける。

「素材による花粉付着率 (綿を100とした比率)」

付着花粉率
羊毛 980
化繊 180
150
綿 100

(平成10年調査 元東邦大学 佐橋紀男氏)花粉症一口メモ(2023年度版)東京都健康安全研究センター

② 花粉症に対するマスクの効用
マスクは、花粉の飛散の多いときには吸い込む花粉をおよそ3分の1~6分の1に減らし、鼻の症状を少なくさせる効果が期待されています。また、花粉症でない方も、花粉を吸い込む量を少なくすることで、新たに花粉症になる可能性を低くすることが期待されていますが、風が強いと鼻の中に入る花粉はマスクをしていても増え、効果は減弱するといった報告もあります。マスクは防御の他に、口腔内や鼻内の保湿効果や、鼻水や咳ででる唾や痰などを周りに飛散させないという役目があります。
そこで、「ぴったりフィット」させる方法を探りました。注意するポイントは3つ。1.鼻 2.ほほ 3.あごでした。フィットしやすいようなマスクを薬局で選んでください。
マスクには3種類あります。古くから使用される保湿性が高い「平」型、立体的になるプリーツ構造を採用した防塵機能が高く呼吸がしやすい「プリーツ」型、顔のラインに沿った形状で密着性を高めた「立体」型があります。高機能なものほど、値段が当然高くなる傾向にあります。基本使い捨てなので、コストも十分考える必要性があります。環境省の報告では、マスクの内側にガーゼをあてるインナーマスクを推奨していますが、みたところ少し作成しずらいようです。マスクを2重にして使うだけでも効果がありそうです。2つのマスクの間に、ぬれたガーゼ等をいれると、より効果が出そうです。
花粉症の人の話では、花粉がひどくなるとマスクも役に立たないといわれることが多くあります。それは、花粉症を引きおこすアレルギーの原因物質は、花粉の粒子だけでなく、粒子が水分を吸って割れて出た破片も関係しているそうです。雨の日は雨が街を洗ってくれて、調子がよかったのに、次の日は調子が悪いというのも納得ができます。

雨の日の翌日は、花粉だけでなく、水分を吸って割れた花粉の破片がいっぱいとんでくることで、花粉症を悪化させます。普段は花粉症に対してそこまでフィットさせることはありませんが、雨の日の翌日は、ぴったりマスクをすると花粉症に効果的です。

「マスク、メガネの効果」 鼻粘膜上の花粉数 結膜上の花粉数
マスクなし、メガネなし 1848個 791個
ガーゼマスク・一般的なメガネ 537個 460個
花粉症用マスク・花粉症用メガネ 304個 280個

平成13年度厚生労働省アレルギー総合研究事業研究報告書 日本医科大学 大久保公裕氏:花粉症一口メモ(2023年度版)東京都健康安全研究センター

③ 日頃の生活習慣で花粉症を撃退しましょう
◎生活の心得
風邪(感冒)、飲酒、喫煙、寝不足、過労に注意して、バランスの良い食事と規則正しい生活を心がける。

◎上手な換気で、花粉を減らしましょう
花粉飛散時期に1時間換気した際に、部屋に入ってくる花粉の数が1000万個だといわれています(3LDKマンション一戸の場合)。換気のコツは開窓の幅を10cm程度にすることと、レースのカーテンを使用すること。これで侵入する花粉を約1/4に減らすことができるそうです。また、換気時間を短くしたり、こまめな掃除にも気をつかいましょう。

◎家に帰ったら、まずうがいと手洗い、洗顔も!
鼻から吸い込んで奥に付着した花粉は、粘膜の働きでのどの方へと送られ、のどのいがいがの原因となります。うがいをして、口やのどに付着する花粉を洗い流しましょう。家に帰ったら、手をあらうのは常識ですが、ばい菌を洗い落とすだけでなく、花粉も洗い落としましょう。ついでに顔も洗って、顔に付着した花粉を洗い流しましょう。 

参考:環境省 花粉症環境保健マニュアル2009

妊婦の花粉症

妊娠中はホルモンの関係か、花粉症がひどくなる妊婦さんがいます。それまで平気だった人が妊娠をきっかけに花粉症を発症してしまうこともあります。本人を担当している産科の先生のご意見をお聞きし、当院ではお薬を処方するようにしています。一般的には妊娠初期はお薬を控える傾向にあります。お薬としては、点鼻薬や点眼薬は体内への移行が少ないのでまず処方します。市販の点鼻薬や目薬の使用は、市販品にもさまざまなものがあり、適切な使用をしていないことが多くあるそうです。特に血管収縮薬が含まれているものは、症状を悪化させることがあるようなので、医師が直接患者さんを診察し、処方した薬のほうが安心といえます。内服薬としては、抗ヒスタミン薬のポララミンは妊婦が服用してきた実績があり、他に漢方薬の小青龍湯を処方することが多いです。将来妊娠を考えている方に対して、花粉症のレーザー治療を事前におすすめしています。レーザーによる外科的治療により、花粉症のお薬を減らしたり、なくすことが可能です。

花粉症に効果有

◎花粉症緩和米(東京慈恵会医科大学他)
東京慈恵会医科大学(東京都港区)などの研究により、スギ花粉の成分を含ませた米を食べつづけることで、花粉症症状を抑えることが将来できそうです。食事による花粉症に対する減感作療法(免疫療法)ともいえるものです。研究チームは、コメから抽出した成分を薬として実用化することを目指しているそうです。このお米は、農業生物資源研究所、日本製紙、サタケが遺伝子組み換え技術を使って開発した「花粉症緩和米」です。実用化にはまだ時間はかかりそうですが、安全でおいしいお米を食べながら、花粉症を治す時代がくるかもしれませんね。

◎L-92乳酸菌(ラクトバチルス・アシドフィルスL-92株)
L-92乳酸菌は、免疫をつかさどる細胞に働きかけ、抗アレルギー作用を引き出してくれることがいくつもの研究から明らかにされています。花粉症だけでなく、アトピーや通年性アレルギー性鼻炎といったアレルギーへの有効性も確認されています。それぞれの症状において、「L-92乳酸菌」を8週間摂取したグループは有意な改善が確認されています。L-92乳酸菌を含むものも販売されております。

◎甜茶(てんちゃ)
サイトでは季節変化のぐずぐず対策にと書かれています。以前三重大学でも研究されていました。甜茶(学名:Rubus suavissimus S.Lee English:TIEN CHA)は中国南部に自生する植物で「おめでたいお茶」として、5千年前頃から健康茶として飲まれています。一般的に甜茶とは「甘いお茶」の総称で、バラ科キイチゴ属の甜葉懸鈎子(てんようけんこうし),ユキノシタ科の臘蓮繍球(ろうれんしゅうきゅう),アカネ科の牛白藤(ぎゅうはくとう),ブナ科の多穂石柯葉(たすいせきかよう)の4種類が知られています。それぞれの効果・効能があるとされていますが、はなのぐずぐず感に効果があるのは甜茶の中でも甜葉懸鈎子だけとのことです。含まれるGODポリフェノールが効能と関係がありそうです。

◎最高級ティッシュ
鼻水対策にティッシュは欠かせません。「ダブル保湿」と「天然由来スクワラン配合」で、いつもしっとりやわらか。あとティッシュを3枚重ねることで、まるで高級な生地のような肌ざわりはやさしいのにしっかりとした質感を実現しました。デリケートなお鼻の方にも最適です。

◎花粉症対策コート
生地を特殊加工により、繊維表面に付着させた抗アレルギー物質剤が、花粉症の原因とされる花粉アレル物質を包み込み、働きを抑えます。さらに、生地の表面にはっ水加工が施されているため、花粉が付着しにくく落ちやすいとのことです。花粉がついたコートや上着は、お家に入る前にブラシで花粉を落とすようにしましょう。一般にウールなどの素材は花粉が付着しやすく、綿や化学繊維などは付着しにくいと言われています。コートはやはり表面つるつるの方が、花粉はつきにくいようです。脱いだコートや上着は、リビングに持ち込まず、玄関で保管するのがいいと思います。

◎花粉症対策めがね
花粉症の症状があるときのコンタクトレンズには要注意。コンタクトレンズによる刺激がアレルギー性結膜炎を悪くしてしまう事もあるんです。めがねを装用しましょう。通常のめがねだと約56%花粉症をカットしますが、このめがねは98.4%花粉症をカットするそうです。花粉を目に入れないなめに、目の周りをゴーグルのように覆わなければならず、マスクをしてめがねをするので、従来の商品はめがねが曇るのが難点でした。このめがねは防曇レンズを標準搭載しているそうで、曇りにくくなっているようです。

◎布団クリーナー
花粉が飛び交う時期に布団を外に干すと大変な事になりますよね。布団クリーナーは、ダ二をたたき出し、花粉をしっかり吸引してくれますから、お外に干さなくても清潔ふかふかなお布団で寝られます。

◎水洗いができる羽毛布団
布団クリーナーもいいですが、布団が汚れたら水で洗えるのは便利で清潔です。お布団に入ると鼻水が出るような人は、お布団にいるダニや、ハウスダストや花粉やカビが原因かもしれません。僕は自分の布団は洗える羽毛布団ですが、なんといっても洗った後は、臭いもないし、気持ちよく寝れます。

◎鼻うがい
鼻を洗うことは、鼻の穴の細菌や汚れを洗い流してきれいにすることができます。また保湿効果もありますが、個人的な見解では、やりすぎはおすすめしません。鼻洗浄は、自分勝手に温度や塩分の濃度を考えずに安易に行ってしまうと、手を洗いすぎると手の甲の毛がなくなるように、鼻粘膜に生えている繊毛がなくなり粘膜の機能を損なってしまい、ひいては中耳炎を起こすこともあるため、風邪をひいていたり、鼻の炎症や鼻づまりがひどいときはできません。医師の指導の下に行って下さい。生活習慣としても、世界のどの映画をみても、やっているのはみたこともないし、昔やっていたとも聞かないし、ともかく頻繁にやるものではないです。どちらかというと鼻うがいは、耳鼻科的には鼻の手術後のフォローアップに行うことが多いです。またゴルフ場とかで大量に花粉を吸い込んでしまった場合に、一時的には効果的かもしれません。医療的な器具を使ってやる場合は、特に問題はありませんが、コップを使ったりする方法や、あまり簡易な方法は個人的におすすめしません。鼻の術後や医師の指示がある場合は別にして、1週間に1回ぐらいが、個人的にはよろしいかと思います。

◎お茶が花粉症に効く?
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構の報告では、メチル化カテキン[エピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート]含有緑茶の長期飲用により、スギ花粉症の症状の悪化はメチル化カテキンを含まない対照緑茶飲用に比べ、正常免疫反応に影響を与えることなく有意に抑制される。しかし、残念ながらこれらは治療薬ではなく、すでに発症した花粉症の症状をしっかりと抑える効果はあまり期待できません。

◎べにふうき茶葉
臨床試験から、「べにふうき」茶葉が、目や鼻の不快感を緩和するとの効果が実証されたのこと。「べにふうき茶葉」を緑茶に加工してメチル化カテキンを発見とのこと。メチル化カテキンはIgE受容体の発現を抑制し、ヒスタミン放出の指令をストップし、ヒスタミンの放出を抑えることで、不快感の緩和をします。

寒暖差アレルギー

◆◆ 症状の特徴 ◆◆
水溶性の鼻水が中心です。鼻づまり・くしゃみもおこします。花粉症と比べ目が痒いことがまずないのが特徴です。症状の重さは個人差や体調に左右され、医学的には血管運動性鼻炎(本態性鼻炎)といいます。血管運動性鼻炎は、抗原や誘因となる特定の物質が明らかでない非アレルギー性の鼻過敏症です。血管運動性鼻炎の中で温度変化によるものを、ネット用語で寒暖差アレルギーと呼ばれているようです。急激に気温が下がった日には誰にでも症状がでる可能性があります。外気の急激な変化(暖かい部屋から出て、外の冷たい空気に触れることや、空調の冷気によるもの)が原因となることが多いです。朝の冷気で一時的な鼻水などは通常の生理的なことですが、特に寒暖差以外の原因が無く、苦痛が続くならば寒暖差アレルギーと考えていいです。中年以降の女性に多いとの報告があります。類似疾患として老人性鼻漏があり、くしゃみや鼻閉はなく鼻漏が主となり、鼻粘膜腫脹もない(鼻づまりがない)のが特徴です。

◆◆ メカニズム ◆◆
日本では自律神経のアンバランスと考えられてきました。副交感神経が交感神経よりも優位な状態です。ストレスが関係するともいわれています。急激に気温が下がった日には誰にでも症状がでる可能性があります。下半身を室温より7度以上冷たくした実験(室温が20度から28度の室内で13度の冷水に5分間下半身を浸した実験・13度の乾燥した冷却空気を鼻に5分間入れる:谷川真也 血管運動性鼻炎の病態に関する研究 千葉医学75:57-67,1999)では、統計的に有意に鼻水が増えて、統計的に有意に鼻腔容積減少(鼻づまりがひどくなる)という報告があります。また7度以上冷たい空気を鼻に入れた実験では、統計的有意に鼻水が増えて、有意ではないですが鼻腔容積の減少傾向があるとの報告があります。この実験よりあくまで目安としてですが、気温が7度以上下がると寒暖差アレルギーが発生しやすいと推測されます。国際的には、自律神経ではなく、原因不明として本態性鼻炎と呼ばれてきています。最近 Local allergic rhinitisという概念が提唱され、研究レベルですが、血管性運動性鼻炎と診断されているもののなかで、鼻の粘膜の局所において抗原特異的IgEが存在し、反応を起こしている症例があると報告されています。通常のアレルギーの検査では抗原が特定できなくても、鼻粘膜誘発試験では診断が可能な症例があるとのことです。(日本医事新報社 No.4687 (2014・2・22) 第1章 実は鼻炎は「様々」特{アレルギー性鼻炎のトータルマネジメント})。

◆◆ 診断の手順 ◆◆
①アレルギー性鼻炎に類似したくしゃみ・鼻水・鼻づまりがある。全ての鼻の症状を満たす必要なし。
②適切な問診で鼻炎の要因となるものがない。
鼻炎を誘発する薬物使用がなし 6か月以内の喫煙歴がない 職業関連アレルギーが否定できる 妊娠授乳中ではない シックハウス症候群等の化学物質の暴露がない
③鼻鏡や内視鏡による観察で鼻の解剖学的要因や鼻茸(ポリープ)がない
④血清特異的IgE測定又は皮膚テストで主要な吸入抗原の感作がない
*国際的には、鼻粘膜誘発試験では、局所的に反応している場合があるようです
⑤鼻汁中に好酸球がない
⑥画像検査で副鼻腔炎がない
(参照 日耳鼻 2011 年 114 巻 12 号 p934-7)

◆◆ 家での治療 ◆◆
①ストレスをなくして、自律神経のバランスを整える
基本は、まず規則正しい生活です。夜遅くまでお仕事があるビジネスマンは多いと思いますが、まず早寝、早起きをこころがけ、睡眠時間を十分に取りましょう。寝だめもある程度の効果があるとは思いますが、自律神経のバランスを整えるには、毎日決まったタイムスケジュールによる生活が大切です。お風呂にゆっくりつかりましょう。シャワーよりも湯船に浸かっていた方が睡眠の質が良好となり、疲労回復がなされたという報告もあります。
②朝起きてすぐ軽く体を動かす
睡眠から覚醒する際には副交感神経優位の状態から、交感神経の働きが急速に増えます。血管運動性鼻炎は副交感神経優位の状態なので、まずは体を軽く動かして交感神経刺激をします。激しい運動は必要ありません。家の中をすこし歩くだけでいいです。
③体を冷やさないように(特に下半身)
インド医学のエネルギーの源といわれるチャクラで、一番のエネルギースポットである第1のチャクラといわれるムーラーダーラ・チャクラ(mūlādhāra‐cakra)は、下半身、特に脊柱の基底にあたる会陰(肛門と性器の間)にあります。
最近の家やマンションは空気の換気を重視したつくりになっているため、外気の影響を受けやすい住宅ともいえます。北国の家と違い、関東以南の家はセントラルヒーティングシステムを採用しているマンションや家は少ないです。ですから家の中が一様に室内温度というわけではありません。浴室の近くに洗面所がある家は多く、夜間お風呂場の窓を開けっ放しにすることも多いでしょうから、洗面所が一番室内温度が低いということもあるでしょう。実際、朝起きて洗面所で顔を洗った後から、鼻水が止まらないという患者さんも多いです。ベッドの脇に腰まで届くような長めのカーディガンをかけておいて、朝起きて別の部屋に行くときは、それを引っかける。暑くなったら脱ぐというような、工夫が必要です。最近は夏の後はいきなり冬のような気象変化があり、体がそれについていっていません。寝間着も、秋から冬は、短いショーツのような足(太腿)を出すのをやめましょう。夏冬、最低2シーズン対応の寝間着を用意するといいです。
④外ではマスクをする。
冷たい空気が直接鼻に入るのを防ぎ、ウイルスやゴミやアレルギー物質の鼻からの侵入を防ぐこともできます。また湿度も保持します。ウイルスの侵入を防ぐ高機能マスクの必要はありません。冷たい空気や湿度を保持するには、普通の安いマスクやガーゼーマスクで十分です。
⑤国際的には、自律神経の関与はあまり考えられていません。血液検査等で抗原が特定できなくても、鼻の内部で局所的になにかが反応している場合があり、状況証拠によりその物質が特定出来たら、まずそれを除外する、マスク等で避けることが必要です。

◆◆ 血管運動性鼻炎と全身症状 ◆◆
病因が自律神経のアンバランスによるため、鼻だけでなく全身的症状が起こりやすいともいえます。鼻症状として(鼻汁や鼻閉・くしゃみだけでなく、頭痛やいびきや嗅覚障害)、耳鼻咽喉科症状として(めまい・浮遊感や逆流性食道炎、咳)、全身症状として(動悸や気管痙攣、便秘や下痢、排尿困難)などが随伴症状としておこすことがあります。
(Elsheikh MN;Acta Otolaryngol 126;1206-12,2006)

オマリズマブ

銀座・築地地区の患者様のために、重症・最重症のスギ花粉症患者様に対して、2月~5月の間に抗IgE抗体オマリズマブを皮下注射する治療を、保険で行います。スギ花粉症によるくしゃみや鼻水がとまらない・鼻がつまるという鼻炎症状が飲み薬や点鼻薬でも治まらず、1日中花粉症で悩んでいる方、また内服薬の眠気が強くて、より強力な効果が期待出来るお薬に変更や増量できないために花粉症の強い症状が治まらない方にとって、検討価値のあるお薬です。

◎対象は12歳以上。4週間ごと(又は2週間ごと)に注射:2月~5月の間
◎シーズンの間、従来の治療法(抗ヒスタミン薬等)で1週間以上治療して、コントロールが不良の方が対象です。
◎治療の前に、総IgE値とスギ特異的IgE値の測定が必要です。直近の総IgE値と体重で投与量が決定されます。数値やクラスにより適応とならない場合があります。
◎費用はオマリズマブの薬剤費のみ

約4500円から7000円/3割負担で1ヶ月間です。

その他受診や検査に係る費用や他の薬剤費用がかかります。販売会社のHPで概算費用が確認できます。

NEWS

◎世界初の無花粉スギを富山県森林研究所のグループが開発しているそうです。
毎日新聞2021年3月20日配信

◎雄花を枯らす菌を発見し、スギ花粉の飛散が防げるかも
2020年1月4日神奈川新聞
スギの雄花に寄生することにより枯死させるシドウィア菌(神奈川県由来)が発見されました。

◎花粉症の対策商品の性能評価 日本で世界初の認証制度誕生します (朝日新聞デジタル 2015年12月9日)
サントリーホールディングス、帝人、田辺三菱製薬などが参加する「花粉問題対策事業者協議会」がつくった認証制度です。認証ロゴもつくったそうです。ダイキン工業や三菱電機の空気清浄機が認証を獲得しました。日本電機工業会が定める空気清浄機の基準よりも、花粉に対する性能を厳しくした空気清浄機です。マスクやメガネでも基準づくりを進めていて、今後認証品が登場する予定とのことです。

◎花粉をカットする眼鏡が発売されました。
メガネと一緒にマスクをしても曇りにくいレンズを搭載し、顔の形に合わせてフィットするフレックスカバー採用しています。メガネを掛けた時に、2層構造のフロント部分がスライドすることで、顔の幅に合わせた調節が可能に。フィット間をさらにアップさせることで、花粉カット率が一層向上しました。フロント部分がクリアだから、広い視野を確保しました。クリア素材を使用することで、花粉をしっかりガードしながらも広い視野を確保します。

◎PM2・5がアレルギー性鼻炎を悪化
兵庫医科大学の免疫アレルギー学グループが5日、DEP(ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる微粒子;微小粒子状物質PM2・5の代表的微粒子)がアレルギー性鼻炎を悪化させる仕組みを解明したと発表した。(神戸新聞 英国アレルギー学会誌電子版)

◎ヒノキ花粉症対策
スギ、ヒノキは、我が国を代表する造林樹種です。加工しやすく、成長が早いことなどから、古くは奈良時代から広く利用されています。ヒノキは、日本では福島県以南から九州まで分布し、大きいものは30mを超えることが知られています。ヒノキは日本では建材として最高品質のものとされ、上品な芳香を発し、ヒノキの建築には何百年も寿命を保つものがあるともいわれています。総檜造りの家や、檜風呂は最高の贅沢ですね。
戦時中及び戦後以降政府はスギ、ヒノキの造林を推進してきました。人工林は、木材資源であると同時に、国土の保全や地球温暖化の防止、水源のかん養等の多様な公益的機能を発揮しています。林野庁の報告ですと、我が国の国土面積( 3,779万ヘクタール)の約7割を森林面積(2,508万ヘクタール)が占めており、そのうち、人工林面積は、1,029万ヘクタールで、森林面積の約4割となっています。
なお、スギ人工林は、448万ヘクタールで、森林面積の18%、人工林面積の44%、ヒノキ人工林は、260万ヘクタールで、森林面積の10%、人工林面積の25%を占めています。約60種類の花粉アレルギーが(花粉症は約50種)報告されています。
一般に最も多いのは、スギ花粉を原因とするスギ花粉症で、ヒノキの花粉もスギ花粉と抗原の共通性を持つために、スギ花粉症の原因となります。樹木の花粉では他にシラカンバ、ハンノキなどがあります。スギ花粉の飛散時期は2~4月、ヒノキ花粉の飛散時期は3月中旬~5月いっぱいです。スギ花粉症患者さんの7割はヒノキ花粉に対しても敏感なので、両方の飛散時期が重なる時期(3月中旬~4月)は症状も辛くなるようです。スギとヒノキ花粉は形もよく似ていますので、スギに反応する人はヒノキにも反応しやすく、スギ花粉症の方の約7割がヒノキ花粉にも反応するといわれています。逆にヒノキ花粉症だけの人はかなり少ないとのことです。
スギ花粉症シーズンの終わり頃にヒノキ花粉による症状が加わって重症化することもあるので、花粉飛散情報を確認し、症状の軽快で治療終了を判断せず、ヒノキ飛散状況を考慮し加療することが大切です。ヒノキ花粉飛散終了まで治療を継続することがよろしいかと思います。

慶友銀座クリニック(東京都中央区)へのご通院地域

慶友銀座(けいゆう ぎんざ)クリニックは、耳鼻咽喉科(耳鼻科)・小児の耳鼻咽喉科・アレルギー・内科・皮膚科・レーザー手術(日本レーザー医学会認定施設)・いびき(睡眠時無呼吸症候群)を専門とする医師として、慶応義塾大学病院 耳鼻咽喉科(新宿区信濃町)、東京都済生会中央病院 耳鼻咽喉科(港区三田)、国立小児病院 耳鼻咽喉科(現在国立成育医療センター 世田谷区大蔵)で学んだ耳鼻科医療を、銀座・築地・新橋・汐留の皆さんのお立場に立ってご提供しております。終業後に赤坂や霞ヶ関、虎ノ門、内幸町、八重洲・東京駅周辺、地下鉄で日本橋・人形町・茅場町・八丁堀・明石町方面、勝どき・晴海・豊洲方面から来られる患者さまも多いです。東京地区だけでなく、全国からも来院なされます。月曜・火曜・金曜日を除き、内科の診療も行っております。補聴器を扱っています。

医院名
医療法人社団慶友 慶友銀座クリニック(ケイユウギンザ クリニック)
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診療日
月曜日~金曜日+祝日
休診日
土曜日 日曜日(年末年始)詳しくはこちら
受付時間
午前部 9:30-13:30 午後部 15:00-18:30
※受付時間内に入室頂ければ診察致します。
標榜科目
耳鼻咽喉科 アレルギー科 気管食道科 内科 小児科 皮膚科 歯科 歯科口腔外科
(各種保険対応)
開設者
医療法人社団 慶友(ケイユウ)
管理者
理事長 院長 大場俊彦 博士(医学)
住所
〒104-0046 東京都中央区築地1-13-11高橋ビル2階
代表電話
03-3542-3387
交通アクセス
(日比谷線・浅草線) 東銀座駅(日比谷線)築地駅(銀座線) 銀座駅 (有楽町線)新富町駅 銀座1丁目駅 (大江戸線)築地市場駅
(JR山手線) 有楽町駅 新橋駅[汐留・銀座口]
(東京都都営バス)築地バス停(東京臨海線ゆりかもめ)新橋・汐留